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下請としての生き方と落とし穴 [下請]

僕の仕事上の立ち位置としては、大手企業の下請として仕事を受注したり、
また自らが元請会社として仕事を請け負い、取引先の下請業者さんに発注することもあります。


今回はそんな僕の取引先の「下請け会社」について話をしてみたいと思います。


僕の取引先の下請会社の社長さんたちは、ある独特の価値観を持っています。

それは僕から言わせてもらうと・・・

下請根性

といった感じの価値観です。

どんなものかというと・・・

・発注金額に対して文句を言わない

・追加請求はするが減額には触れない
(実際の工事では中身が増えたり減ったりします)
(これは根性とはあまり関係ありませんが)

・お客様とは直接話さない
(金額の話などはできませんね)

・責任は自分にはないと主張する


大きく分けるとこのような感じです。
(価値観とは言えないかもしれませんね)


これは良い意味で言うと、

文句を言わず寡黙に働く

とも言えますが、


別な見方をすると・・・

・意見を言わないだけで、実は言いたいことは沢山ある。

・ズルい

・無愛想である

・無責任だ

ということにもなります。


僕の周りにはこのような方が結構多いです。


「下請」というポジションにいることで、自らを卑下して語る社長もいます。


忘年会やお酒の席になると必ず、

「ウチみたいな小さい会社は・・・」

などと、自分の置かれている境遇が不幸だとか、そんな愚痴をこぼし始めます。


また僕が社長さんたちよりも若いため、ガンガン噛み付いてくる人もたまにいます(笑

「お前よ~・・・」とか、

「もう少し金額なんとかならんのか?」

「その工程じゃキツすぎるわ」

とか色々です。


実は前者の愚痴をこぼす社長よりも、後者の噛み付いてくる社長のほうが仕事をしっかりやってくれます。
(少なくとも僕の周りでは)

文句を言うからには責任感もそれだけ増すのかもしれません。

なので僕としては愚痴をこぼされるよりかは、不平不満を言ってくれたほうがまだやり易いのです。
(どちらの意見の中にも改善のヒントが隠されていますが)


前者の愚痴が多い社長と話していても、

「またそんな話か」と思ってしまうし、何よりも暗いんですよ、言葉も雰囲気も。


後者の文句を言う社長には、時には腹も立ちますが、接しているとエネルギーを感じます。


そこで、それぞれの下請会社さんの背景を見てみると、ある違いが浮かび上がります。


愚痴の多い社長の会社は、基本的にほぼ「下請専門」のスタイルが多いです。

自分たちが「元請」としてお客様から直接仕事を受注するようなことはないのです。


それに対し、文句を言ってくる社長の会社は時には「元請」として直接仕事を受注しています。


結局はこの差だと思うんです。


長い間、下請に甘んじているうちに、様々な能力を失ってしまったのです。
(全ての下請け企業がそうだと言うわけではありません。あくまでも僕が接している下請会社のことを言っています)

どんな能力を失ったのかというと・・・

・見積もりする能力

・営業力

・宣伝力

・会社を発展させるという意欲

・自らの業務に対する分析力

・自社の売上に対する原価計算力
 (または純利益の計上)

・社員を教育する能力

・責任感


などなど、沢山あります。

これは僕が接する下請会社の内情を垣間見て、

「下請根性が強すぎると、こんな風になってしまうのか」

そうヒシヒシと肌で感じたことなのです。


ハッキリ言って危険ですよね、この状態は。

受注を元請けに完全依存しているので、本来仕事で必要とされる様々なスキルを、知らないうちに失っていくのです。

そしてその失われたスキルと引き換えに、下請根性を自らが育て上げているんです。


・見積もりもしていないのに、売り上げの目標を立てれますか?

・原価計算もしていないのに、請求に関して交渉できますか?

・お客様の気持ちになって真心を込めた仕事ができますか?

僕は彼らに対してそんなことを考えることがあります。


仕事の受注量や内容は自分たちではコントロールできないので、
(コントロールは元請け側のこちらでしています)

とても忙しくなったり、暇になったりするんです。

振り回されるんですね、仕事に。


その会社の社長がそんなスタイルだと、働いている社員も似たような考え方になっていきます。

中には危機感を覚え、自らが独立や転職をするために前向きに努力している人もいますが。


やっぱり社員のモチベーションは本当に低いですよ・・・。

やらされている感が溢れています。

こちらと話していても真っ直ぐ前を向けない人もいます。

一言も言葉を発しない人もいます。

自分に自信が持てないのでしょうか。


そのような会社の社長ともたまに腹を割って話す時もありますが、かなり独特の信念というか哲学を持っているんですよね。

それは僕には理解できなくて、それを変えることもできないと、いつもそう思います。
(他人を変えるためには相当なエネルギーが必要になりますから)

昔はそれでも元請け側の役目として、下請さんの教育だったりアドバイスだったり色々と熱心にやってきたりもしましたが、最近はそういう事が少なくなってきた気がします。

紐解いてみると、こうした下請け会社さんも、昔は意気揚々と自らが元請けとしてやってきた経緯も聞けたりします。

でも時代とともに楽な方に流されてしまったのでしょうか・・・。

IT革命に付いてこれなかったという背景もあるかと思います。


そんな下請会社と上手に付き合い、質の良い仕事をやってもらうのが僕の業務でもあります。


彼らがどのような理念でどのように生きるのかは、彼らの自由です。
(できれば共有したいとは思いますが)

一定の基準を満たした質を維持できれば、これからも仕事はあるでしょう。

でも、その人達とこれから先も付き合うか付き合わないかの主導権は、こちらにあるわけです。
(彼らが他に取引先を開拓して、より良い条件を選ぶこともできます)

この先もずっと一定の量の仕事を発注し続ける保証もありません。
(もちろん努力はします)

こちらにも義理や人情がありますから、突然取引を辞めるなんてことは絶対にしませんが。

仮にもし取引を辞めるなら、どこかを紹介してあげると思います。


下請の社長さんは、そんな元請の「思い」は多分わからないでしょう・・・。
(下請は下請として大変なことが沢山あるでしょう)

そして今日も現場で愚痴をこぼしながら働いているのです。


ただ、元請け側の企業には、下請会社をこのような「骨抜き」状態に意図的にしてしまう、そんなテクニックを使うところもあります。

下請に甘んじて、どっぷりと浸かってしまった会社は、実はこの落とし穴に落ちたことに全く気付いていないのかもしれません。

僕のいる会社はそんなことはしていませんが、知れば知るほど恐ろしくなるような、そんなテクニックを垣間見たので、今度お話したいと思います。

(いや、もしかしすると自分でも知らない内に使っているのかもれません、効率化という名の下に)



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